診療情報管理の重要性
診療情報管理という医療事務の業務がクローズアップされるようになったのは、診療報酬の改定が2000年に行われましたが、この時に診療録管理体制加算が新規に設けられたことが大きな切っ掛けとなりました。
診療録管理と以前いわれていた業務と現在の診療情報管理とは呼び方が違うだけで仕事内容は同じものを指します。
診療録管理を行っていた医療事務職員の仕事は以前では具体的な評価はされていませんでしたが、2000年診療報酬改定での診療録管理体制加算の新規設定により、診療報酬に反映され正式に評価されるようになったという観点では大きな意味があった改定でした。
また、これからの医療機関では、従来の診療行為ごとに診療費を算出する「出来高支払方式」から、入院患者の病気や病状別に設定された包括点数を基本として算出される包括評価(DPC)方式を導入する病院も多くなっていることから診療情報管理士の有資格者のニーズも高まり職域も広がることが期待できます。
DPC(診断群分類包括評価制度)は、2008年の診療報酬改定以降、DPC対象病院として適用認定された大規模な病院などで導入されています。
但し、入院してもDPCに指定されている病気でないと、DPC方式で診療費は算出できないので、出来高支払方式との併用となっているのが現状です。
診療情報管理に関するメジャーな資格には一般社団法人日本病院会認定の診療情報管理士が有名ですが、日本病院会が行っている通信教育以外にも、今では診療情報管理士の資格取得を目標にした多くの講座が開講されています。
診療情報管理の仕事内容について
次のような業務内容が主な診療情報管理の仕事になります。
診療録の整理
診療録はカルテとも呼ばれ、医師が入院患者や外来患者に対し診察・治療を行った際、その経過や内容を記入又は入力してファイルやデータで保存しておく記録簿のことを指します。
診療記録とは、診療録、処方箋、手術記録、看護記録、検査記録などを含めた総称です。
診療録(カルテ)は、医療機関で最も重要な記録データに当たり、患者個人別に作成されるもので、各病棟や各診療科では自分たちが使いやすい形態でファイリングされているのが一般的で、それぞれ異なっています。
診療情報管理の業務担当者は、異なった状況で作成保管されている診療録を患者が退院した後に、病院として統一した同じ様式に揃えた形式で保管管理を行います。
退院診療録の分析
診療録は患者が退院した後に診療情報室へ収集されますが、診療情報管理士は、医療評価を実施する際に貴重な医療情報データとして活用できるように、各診療科ごとに診療録の情報解析を行いますが、慎重に業務を行う必要があります。
診療録の疾病分類
診療情報管理士にとってIDC基本分類表に基づく疾病分類は中心的な業務になります。
IDCは世界保健機関(WHO)が規定する分類方法であり、死因や疾病などの記録を分析・比較できようにした国際統一基準です。
IDCは基本分類表、疾病分類表、死因分類表から成っており、基本分類表は分類疾患別に22項目に分かれていますが、この各項目ごとにさらに細かく分類されています。
手術術式分類表や疾病分類表に基いて手術方式、病症名、特殊治療・検査などとして設定されている番記号を付与します。
診療録の閲覧・貸し出し・返却
診療録は次のような目的で様々な場面で活用されています。
- 医師が出席する学術会議などで使用する学会資料
- 病院内で開催される会議や研究会で使用する資料
診療情報管理士は、このような場合に備えて統一された院内規定に従い診療録を適正に管理することも重要な業務の一つと言えます。
統計データの作成・管理
診療情報管理室などが病院内に設けられていない場合は、医事課が担当する仕事になりますが、統計業務-医療事務の実務のページで紹介した統計業務を診療情報管理士が担う場合もあります。
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