クラーク業務|医療事務の実務

 小規模医療機関の診療所、大規模医療機関の総合病院の医事課などに従事する医療事務職の業務内容をここまで紹介してきましたが、当ページでは病棟クラークやメディカルクラークの業務内容について解説していきます。

呼び方や細かい仕事内容は、医療機関により違いがありますが、仕事の概要は共通しており、診療報酬請求事務、病棟で必要な事務処理、看護師補助業務が主な業務です。

従来は病棟内に設置されているナースステーションで業務に関わる事務処理を行う担当者を看護事務と呼んでいましたが、来客やナースコールの応対、入院患者のカルテ作成、医師回診の準備・処理、物品備品の発注から保管までの管理業務などを行います。

 この中でも医師の回診の準備・処理は重要な仕事になり、入院患者を診察する場合は、病室を医師が回り患者の状態を診断していきます。

この回診が外来患者の診察にあたり、検査・投薬・注射・手術などの診療行為の具体的な指示を医師が行いますが、入院患者の場合は病状が重篤な方もいるので指示内容も複雑です。

回診で血液検査の指示があった場合の病棟クラーク業務対応

具体例を挙げると、医師が病棟を回診し、次の項目の血液検査の指示をしました。
検査項目 検査対象の病状
GOT
GPT
肝細胞に含まれる酵素の値を示す。

心筋梗塞などの心臓病、肝硬変などの肝臓病。

TP 血液中に含まれる蛋白量を示し。

栄養不良、慢性肝炎、肝硬変などの肝障害。

体内に含まれるカリウム総量を示す。

腎不全や副腎皮質機能不全などの腎臓機能障害。

Ca 体内に含まれるカルシウムの値を示す。

副甲状腺などの内分泌疾患、骨代謝異常などの骨の病気。

血糖 血糖値を示す。

糖尿病などの生活習慣病。

 医事課では、この検査項目の対象となる病名や診療点数を判断する必要がありますが、病棟クラークでは、下記の採血スピッツの中から血液検査に使用する容器の種類、必要となる本数や採取する血液量を考えます。

採血スピッツの種類 測定内容
生化学 栄養状態、肝機能、腎機能、電解質などを測定。

診断基準となり、入院時のルーチン必須検査であるため、採血頻度は最も高い。

血算/CBC 赤血球や白血球などの血球数が主にを測定。
血糖・HbA1C 血糖とHbA1Cを測定。
血液型 血液型を調べることが可能。
凝固 プロトロンビンやトロンビンなどの凝固の働きを測定。
赤沈 赤血球が沈む速さを測定でき、感染性疾患や膠原病などの鑑別が可能。
感染症・腫瘍マーカー HBV・HBCなどの感染症、腫瘍マーカー、甲状腺機能などを調べることが可能。
BNP 心臓から分泌される酵素で、心機能を評価することが可能。
へパリンNa入り 電解質、染色体分析に適している。

心筋梗塞の鑑別にも使われる心筋酵素H-FABPの測定などに主に用いられる。

アンモニアも測定できるが、EDTA-2K入りでも測定可能。
上表引用元:花子のまとめノート「採血スピッツの種類」より

 一般病院では、上記の採決スピッツの中から必要に応じて選択して使用しますが、救急病院で必須の採血スピッツは、生化学、血算/CBC、凝固、BNPの4種類です。

 血糖については、一般病院では、灰色の専用血糖スピッツを使用していますが、救急病院や小児科では使用していないところもあります。

何故なら、血液中細胞には糖を分解する働きがあるため、スピッツ内の血中に含まれる糖が時間の経過とともに減少していき、検査結果は実際の値より低い血糖値として示されることになるので、これを防止するため解糖阻止剤が血糖用スピッツには入れられていますが、救急外来では採血結果を迅速に出すため、糖が分解されるまでの時間経過がほとんどなく、検査結果に影響がでないためです。

 話をもどしますが今回の具体例の場合、医療事務は次の準備を行います。

GOT、GPT、Ca、TP、Kの検査には、1本のスピッツに5ccの血液が必要で、血糖の検査には、血糖用スピッツに2ccの血液が必要となり、血液は合計7cc、スピッツは二本を事前準備し、検査伝票に書き込みます。

次に看護師は検査伝票をチェックし採血した検体をスピッツで保存します。

検査科の担当者は、検査室でこの検体を検査し、結果を医師ヘ報告します。

 以上のような流れで業務を行いますが、万が一、病棟クラークの医療事務職員が検査伝票を誤って策定していたら、医師の指示通りの検査が行えずに的確な病状診断ができず、患者の病状が重篤化したり、治療回復できなかったりする可能性もあります。

クラーク業務は医療行為に影響を及ぼす業務もあるため、患者さんの健康にも関係してくるので、小さなミスが大きな事故に繋がる可能性も否定できず、ミスを重ねていると医師からの信用が大きく失墜します。

このように医事課やクラーク課で行う業務上でのミスは、患者さんの健康や命に直で悪影響を与えることになる場合もあるので、細かなことにも注意を払い慎重に仕事に取り組む姿勢が求められます。

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