医療事務が理解しておくべき医療保障制度

 医療事務という仕事に携わる限り、医療保障制度に関する基本的知識は、必ず身に付けておく必要があります。

医療事務の業務は医療保障制度に基づいて行われる

 私たちは、病気や怪我などにあった場合、通常病院で診療を受けることになります。

その際に治療などにかかった医療費を支払う必要がありますが、例えば癌治療や大きな怪我をした場合は高額な医療費が必要になります。

高額な医療費を患者個人で全額支払うのは、あまりにも経済的負担が重く、収入が少なければ実際支払うことができない方も多くいるはずです。

このような経済的格差による不公平や不安をなくすため、全国民から税金や保険料という名目で法的に決められた一定額を徴収し、医療負担に対応する制度が医療保障制度と呼ばれるものです。

日本の医療保障制度では、医療保険に加入する権利と義務が全国民に課せられており、このような仕組みを国民皆保険制度といいます。

この医療保障制度のおかげで、私たちは次のような給付を受けることが可能となっています。

  • 医療サービスの提供などの療養給付
  • 傷病手当金や出産手当金、埋葬費などの現金給付

医療保障制度には、医療保険制度・後期高齢者医療制度・公費負担医療制度・労災保険制度などが設けられており、診療報酬請求事務(レセプト業務)などの重要な医療事務の業務は、こらの制度に乗っ取って行われています。

医療保険制度の種類について

 医療保険制度は、職域保険(被用者保険)と地域保険(国民健康保険)の2つに大きく区分されています。

職域保険(被用者保険)

 職域保険(被用者保険)の代表的なものに、会社員が加入している健康保険があります。

健康保険は、従業員5人以上の事業所や民間会社に勤務している従業員を対象とした保険制度です。

この他には、船の船員を対象とした船員保険、国家公務員・地方公務員・私学教職員と家族を対象とした共済組合があります。

診療にかかった医療費の自己負担額は、原則3割負担で、70歳以上75歳未満の方は2割を病院の会計窓口で支払うことになっています。

地域保険(国民健康保険)

 地域保険には、自営業者、個人事業者、農業者、無職の方など職域保険(被用者保険)に加入していない方が対象となる国民健康保険があります。

地域保険には、自営業者など同じ業種が組織として集まった国民健康保険組合と、地域住民が加入する市町村国保があります。

その他の医療保障制度には何があるのか

先ほどの職域保険(被用者保険)と地域保険(国民健康保険)以外には、次のような保障制度が有名です。

後期高齢者医療制度とは

 障害により寝たきり状態の65歳以上75歳未満の方、及び75歳以上の方を対象として、老後における医療を適切に受けるため、健康を維持するために給付される医療制度です。

以前は老人保健制度が運用されていましたが、2008年(平成20年)から後期高齢者医療制度に移行されスタートしました。

原則かかった医療費の1割を後期高齢者は自己負担します。

 なお、65〜74歳の方は、前期高齢者医療制度により、職域保険(被用者保険)、地域保険(国民健康保険)などに加入することになっていますが、あくまでこの制度はこの2つから支払われる医療費の負担割合を調整することを目的として設けられた医療制度になります。

前期高齢者医療制度は、他の医療保証制度のようにそれ自体独自で運用されている保険制度ではありません。

労災保険制度労(働者災害補償保険制度)とは

 会社などで就業している従業員が、勤務時間中や通勤途中で事故や災客に遭遇し、死亡・負傷・疾病・障害などの被害に合った際に給付を受けられる保障制度です。

労働災害に関しては、事業主に責任が生じ災害補償費を負担する必要があります。

通勤災害に関しては、事業主に責任がないので労災保険独自で補償されます。

公費負担医療制度

 国や地方自治体が負担する制度で、障害者の更正、社会的弱者の救済や支援を目的として、医療費の全額か一部を給付する保障制度です。

医療保険制度の仕組みについて

 患者などが通院又は入院し、かかった医療費の一部は、被保険者である患者が直接自己負担分の費用を病院の会計窓口で支払いを行いますが、それ以外の費用については、病院などの医療機関が保険者診療報酬として請求を行います。

医療機関が請求した医療サービス内容が妥当で適切であるかを保険者が審査を行いますが、支払いは保険者が依頼している審査支払機関が行っていますので、医療機関が作成するレセプトは審査支払機関に提出することになります。

保険者とは、保険事業の運営母体のことを指し、国民健康保険の場合、保険者は市町村・特別区・国民健康保険組合になり、健康保険の場合、保険者は全国健康保険協会・健康保険組合になります。

医療保険から支払われる範囲は

 診療費、薬剤費、医療材料、特定療養費、入院時の食事療養費などが医療保険の給付対象範囲に該当します。

医療保険の給付対象に該当しないものとしては、美容整形、個別健康診断、分娩費用、往診、訪問治療、訪問看護などを受けるための交通費などです。

 交通事故で被害を被り傷病を負った場合は、加害者である第三者が補償するのが原則になるので、医療保険の給付対象外になります。

但し、保険で取り扱ってもらいたいと、被保険者(被害者)から申請があれば、保険診療として対応していきます。

以上のように、医療保険として支給される対象や範囲は厳格に規定されています。

●どの講座が良いか迷っている方へ

医療事務講座は、まず比較検討してから決定するようにしましょう!

資料請求するメリットとしては、ホームページではわからない詳細ポイントや特典が必ずチェックできますので講座内容を必ず比較してから申し込むようにしましょう!

次の資格案内サイトから
医療事務の講座・スクールを一覧比較し、講座案内資料を無料一括請求して詳細内容を検討できます。

[PR]全国の医療事務講座【通信・通学】を一覧比較。無料で一括資料請求!

関連ページ

医療事務に必要な能力と適性
医療事務の業務を行うために求められる基本的な能力と適性について解説しています。
医療事務に向いているタイプとは
医療事務職に向いている5つのタイプ、医療事務職に最も必要な能力と適性などについて紹介しています。
今後の医療事務に求められること
世間から期待が高い医療事務は今後も求められる範囲が大きく広がっていきます。
医療事務 受付業務のコツと必要な能力
医療事務の受付業務を行う際に必要な能力や円滑に仕事を進めるためのコツなどについて紹介しています。
医療事務 医事課業務のコツと必要な能力
医療事務の医事課業務を行う際に必要な能力や円滑に仕事を進めるためのコツなどについて紹介しています。

医療事務
資格試験日程
医療事務資格
種類と試験内容
医療事務講座
徹底比較
医科 医療事務
人気講座
歯科 医療事務
人気講座
医師事務作業補助者
人気講座
医事コンピュータ
人気講座
ページトップへ戻る