レセプトの提出・審査・返戻-医療事務仕事7

診療報酬はレセプト審査後に支払が行われる

 医療機関では、毎月10日を提出期限として、前月分の仕分けが終了した診療報酬明細書(レセプト)と診療報酬請求書を2ヶ所の審査支払機関にそれぞれ提出します。

病院・調剤薬局共に、レセプト内容については審査支払機関で審査が行われるため、1ヶ月単位でレセプトをまとめ仕分けを行い提出する必要があります。

提出されたレセプト内容についてはチェックが行われた後、審査は10日以降月末までかかります。

また、審査中にあたって必要に応じて再審査が実施される場合もありますが、レセプト内容に過誤がなく診療費請求内容が妥当と判断されれば、審査終了後、各保険者に審査支払機関はレセプトの送付及び診療報酬金額を請求し、保険者から支払いを受けます。

その後、診療内容をまとまたレセプト作成月分の翌々月の21日に、審査支払機関から医療機関へ診療報酬の支払いが行われます。

レセプト申請から診療報酬受け取りまでの流れ

 下記の月日は8月を診療月として、具体例を挙げています。

業務日程の事例

基準

医療機関の業務

審査支払機関の業務

8月末〜9月10日 月末〜翌月10日 レセプトの集計・仕分け・編綴 レセプト受理
9月31日 診療翌月末日 レセプト審査
10月5日 診療翌々月5日 医療機関への診療費支払金額を保険者へ請求
10月20日 診療翌々月20日 保険者より請求金額の収納
10月21日 診療翌々月21日 診療報酬を審査支払機関より受け取り 医療機関へ診療報酬の支払い

レセプトの返戻と査定について

レセプトに不備があれば差し戻しされる(返戻)

 審査支払機関で審査を行っている中で、レセプト内容に過誤などの不備が見つかった場合は、レセプト提出した医療機関に差し戻される場合のあり、このような事態を専門用語では返戻と呼ばれています。

ミスの内容としては、保険証の記号・番号、診療点数の不備、診療内容と病名が一致していないなど、単純なミスが原因で返戻される場合が多いので、提出前のレセプト点検を確実に行い、ミスを事前に発見し審査支払機関から指摘されないようにしておくことは大変重要です。

レセプトに妥当性がなければ減点・減額される(減点査定)

 返戻以外では、診療報酬請求額を減点・減額される場合もあり、これを査定といいます。

査定には減点される場合と増点される場合の2つがあるのですが、減点されるケースが大半を占めています。

減額査定されてしまう原因としては、過剰請求、重複請求、適応する診療項目がない、不要請求などが考えられます。

 万が一、審査で減点査定と判定された場合は、収入が減ることになり医療機関の医業経営に悪影響を及ぼすことも考えられます。

もし、減額査定の判定に対して納得できない時は、その減点対象項目について医師と協議し、再審査の請求を半年以内に限り行うことが認められています。

再提出するレセプトの管理方法と今後の対策

 医療機関は審査支払機関よりレセプトが返戻された際は、内容を見直して訂正した後、再度提出する必要があります。

レセプトが差し戻され見直し訂正する場合は、診療実施月日・診療科目・患者氏名・診療点数などを記載した履歴簿を作成し管理を行います。

その後、間違った個所を訂正した診療報酬明細書(レセプト)を作成し直し、再提出を行えるようにしておきます。

 この再提出レセプト用履歴簿に、修正内容を記録しておくことにより、返礼された原因追及を行い要因分析などをすることで失敗原因を明確にし再発防止につなげることが出来ます。

返戻されたレセプトを修正して再提出した場合は、審査支払機関からの診療報酬振り込みが通常より1ヶ月以上遅れて支払われることになります。

なので、単にレセプトを修正して都度再提出するというようなもぐら叩きのような対応ではなく、返戻をゼロに近づけるような根本対策をしっかりと行うことが重要で、安定した医業経営に繋がることになります。

レセプト提出先の審査支払機関の種類と業務内容

保険者と審査支払機関との関係

保険者

委託

審査支払機関

・健康保険組合
・共済組合
・政府
社会保険診療報酬支払基金
・国民健康保険組合
・市町村
国民保険団体連合会

支払基金と国保連合会の違いとは

 日本における診療報酬の審査や支払いは、企業に勤めている労働者などが加入する健康保険は、健康保険法に基づき、各都道府県の社会保険診療報酬支払基金(支払基金)が保険者から委託され業務を行っています。

個人事業者、自営業などの方が加入する国民健康保険は、国民保険法に基づき、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連合会)が保険者から委託され業務を行っています。

社会保険診療報酬支払基金とは

 健康保険法に基づき、保険者である健康保険組合、共済組合、政府から委託された社会保険診療報酬支払基金は、保険医療機関・保険薬局からのレセプトを受理した後、診療報酬請求内容についての審査を行います。

診療報酬の請求内容チェックと支払いが適切に行うことができるよう保険者の代行機関としての役割を担っています。

国民保険団体連合会とは

 国民健康保険法に基づき、保険者である市町村・国民健康保険組合から委託された国民保険団体連合会は、保険医療機関・保険薬局からのレセプトを受理した後、診療報酬請求内容についての審査を行い、医療機関へは保険者より収納された診療報酬の支払い代行事務を担っています。

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